社員研修に動画を使うメリット5選!効果的な使い方・作り方・相場も!
近年、日本全国の企業から教育効果が注目されている研修動画は、新入社員に行うものだけではありません。既存社員へのコンプライアンス研修や、アプリケーションマニュアルの案内としても利用することができます。また、外部への講演で研修動画を使うこともあるなど、さまざまな場所で活躍しています。しかし、企業が研修動画を使うメリットが分からないため、自社に取り入れることをためらっている人もいるでしょう。
そこで今回は、企業が研修動画を使うメリットを具体的に紹介します。効果的な使い方や作り方も紹介しているため、研修動画を取り入れようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目 次
1.社員研修に動画を使う5つのメリット
社員に一から実務を教えるためには、多大な時間と労力が必要となります。しかし、研修動画を使うことによって、研修にかかる時間や労力を削減することが可能です。また、研修動画は記憶に残りやすいため、教育効果が高まるなど、多くのメリットがあります。
ここでは、社員研修に動画を使うメリットを5つ紹介します。
1-1.時間・場所を選ばず視聴できる
研修内容は、動画化することで、以下のデバイスで時間と場所を選ばずに研修動画を視聴することができます。
- パーソナルコンピューター
- タブレット
- スマートフォン
従来の講義型の研修の場合、受講者と講演者のスケジュールを合わせる必要があります。そのため、キャンセル者が出た場合は、当日以外の別の日に改めてスケジューリングしなければなりません。また、研修は大勢に対して一度に行うことが多いため、収容人数がある程度確保できる広い講演場所を探す必要があります。
しかし、研修動画はいつでも視聴することができるため、社員ごとのスケジュール調整に時間と労力を使わずに研修を行うことが可能です。また、視聴場所もデバイスさえあれば自分で自由に選ぶことができ、効率良く研修を行うことができます。
1-2.教育の質を均一にすることができる
講師を招待しての研修では、教育レベルにばらつきがあるため、講師や参加者、教育環境などの違いにより、研修の効果にムラが出ることも少なくありません。また、多くの研修希望者を抱える企業では、一対一で人材教育をすることは難しいです。
しかし、研修動画は、時間や場所による制約や影響を受けることがないため、毎回同じ質の研修を社員に行うことができます。質の高い研修動画を一回撮ることができれば、参加者全員に平等に良い教育をすることができるため、教育の質にばらつきを出すことなく研修を行うことが可能です。
1-3.高い学習効果が期待できる
研修動画では、実際のデモンストレーションを見せたり、イメージを見せたりするなど、視覚情報を生かした教育ができることが特徴です。
従来の研修では、参加者に紙媒体の資料を配るなど、テキストを用いた講義を行っていたため、静止画や文章では表現の幅に限度があります。また、テキストを用いた講義の場合、詳しく説明しようとすれば文章が複雑になる上、端的に説明しようとすれば解釈の違いが生じることも少なくありません。しかし、動画を用いた研修は、視覚的に情報を得ることができるため、高い学習効果が見込めます。
1-4.何度も利用できる
従来のリアルタイムでのみの研修では、残したメモで重要事項を思い出すことしかできないため、誤った情報で覚えてしまうことも少なくありません。
一方、いつでも視聴できる研修動画は、一度作成すれば何度でも利用できる上、完璧な再現性を維持することができます。また、一度で研修内容を完全に把握することは難しいですが、研修動画なら何度も同質の内容を学ぶことができるため、学習内容の定着を促すことが可能です。講義してもらいたい内容を動画にすることで、研修の度に講師を招待して講義をしてもらわずに済むため、コストの削減にもつなげることができます。
1-5.人件費のコストを削減できる
従来の研修では、大きなホールなど大勢の参加者を収容できる会場を確保する必要がありました。大規模な会場は小規模な会場とは異なり、多額の使用料を用意しなければなりません。また、講師を研修ごとに招待する場合、会場の使用料に加えて講師の出演料も大きな負担となります。
しかし、研修動画を利用することで、場所と再現性の問題を解決することができるため、人件費を大幅にカットすることが可能です。
2.研修動画の種類と効果的な使い方
研修動画は、誰にどのような研修を行いたいかで使い方が異なるため、研修を行う際は、研修の参加者や職場環境など、用途に合わせて研修動画を用意する必要があります。しかし、どのような場合に、どういった研修動画を用意すべきか分からない人もいるでしょう。
ここからは、研修動画の種類と効果的な使い方について詳しく紹介します。
2-1.セミナー型
セミナー型は、前もって撮影した講義型の研修を社内研修用に編集したものです。
セミナー形式の研修動画は、新人教育・チームビルディング研修・ES/CS講演など、定期的に行われる研修に向いています。会社の概要説明や経営者側からのメッセージなど、何世代にもわたって伝えたい内容がある場合に適した方法です。
社内外から講師を招待して行われた講演をセミナー型の研修動画にしておくことで、講師を何度も招待する必要がなくなるため、講演にかかる費用をカットすることができます。また、支社がある場合は、社内教育を各支社に配布することができるため、手間のかかるスケジュール調整を行う必要もありません。
2-2.マニュアル型
マニュアル型は、業務の手順や商品の特徴、店舗運営や接客方法、クレームの対処法など、従業員としての仕事を動画化したものです。マニュアル型の研修動画は、コンプライアンス教育や技術研修など、従業員としてのノウハウを研修の参加者に教える際に適しています。
一対一で教育することが難しい現場では、ノウハウやスキルを確実に教えることはできません。また、マニュアル本を配布しても、書面だけでは接客方法やクレームの対処法などはイメージしにくいです。しかし、ノウハウを動画化することで、研修の参加者は大事なポイントを誤解なく理解することができます。
マニュアル型の研修動画は、具体的な行動を動作付きで詳細に説明できるため、接客やクレーム対応、リスクマネジメントにおいて、特に高い学習効果を期待できます。
2-3.ドキュメンタリー型
ドキュメンタリー型は、社員へのインタビューや現場の様子を動画化したものです。実際に現場で働いている従業員の姿を見ることができるため、研修の参加者は最後まで退屈せず、熱心に動画を視聴することができます。ドキュメンタリー型は、参加者自身や参加者の未来を動画の出演者と重ねて見ることができるため、参加者の仕事への意識を高めることが可能です。
ドキュメンタリー型の研修動画に出演する人は、社長や上司、先輩である場合が多いため、一緒に仕事をする前から親近感または尊敬の気持ちを持つことができます。そのため、良好な人間関係や職場環境を作る際にも、ドキュメンタリー型の研修動画は役立ちます。
ドキュメンタリー型の研修動画は、一つのまとまったストーリーを視聴することになるため、記憶に残りやすいことが特徴です。そのため、現場の様子をしっかりと覚えておく必要のある新入社員研修や役職者向け教育研修、キャリア研修などでの利用に向いています。
3.研修動画を作成する際の流れ
研修動画の作成工程は多岐にわたります。それぞれの工程でポイントとなる部分は異なるため、全体の流れを踏まえた上で各手順に進めば、手戻りがなくスムーズに動画作成を行うことが可能です。以下では、作成の流れや各工程で押さえるべきポイントを解説します。
3-1.STEP1:テーマと構成を考える
はじめに、全体の骨子であるテーマと構成を考えます。受講者を定めてから、「現状の受講者に不足していることは何か」「研修動画を見終わった後にどのような状態になってほしいのか」という視点で講義のテーマを絞り込むとよいでしょう。
また、構成はテーマや目的に合わせたスタイルにすることが大切です。動画の構成には、講義形式やマニュアル形式など、さまざまなスタイルがあります。研修動画のテーマ・目的と構成が合っていない場合、受講者が途中で飽きてしまい、思うような教育効果は発揮されません。テーマを決めてから、そのテーマに沿った構成を考えましょう。
本格的な映像制作に入る前に押さえたいポイントについては、下記の記事でもまとめています。
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3-2.STEP2:閲覧方法や配布方法を決める
閲覧方法の種類には、会社配布のパソコン・スマートフォンや、個人端末があります。会社配布の端末と個人端末では、セキュリティ対策やデータ容量が異なります。特に、個人端末は、会社配布の端末と比較してセキュリティ対策やデータ容量が不十分なケースも少なくありません。そのことを踏まえて閲覧方法を決めましょう。
また、配布方法には「ポータルサイト・イントラネットで公開する方法」「メールで送付する方法」などが挙げられます。企業のポータルサイト・イントラネットによっては、社員があまり利用していなかったり、利便性が悪かったりすることもあるでしょう。研修動画のゴールは、最後まで見て実践に移してもらうことです。せっかく作った研修動画がお蔵入りとならないよう、社員にとって閲覧しやすい環境で配布しましょう。
3-3.STEP3:シナリオ・絵コンテを作る
次に、構成に沿ってシナリオや絵コンテを作ります。シナリオは進行を目的とした文章を、絵コンテは映像のイメージを作成することが目的です。
シナリオでは、研修動画で講師が説明する内容などを、端的で分かりやすい言葉を使って記しましょう。絵コンテには、出演者の動作やセリフ、スライドなどのコンテンツを描きます。絵コンテは映像全体のイメージを共有できるため、撮影だけでなく、編集でも利用する重要な要素です。
3-4.STEP4:研修資料を作る
研修動画内で使用するPowerPointなどの資料の作成も必要です。研修動画のポイントとなる部分で資料を活用すれば、受講者は内容を理解しやすくなります。また、研修動画内では伝えきれなかった内容を研修資料で補足することも可能です。
また、研修資料にまとめることには、後から研修動画を見返した際にも重要なポイントが分かるというメリットもあります。一度見た研修動画をすべて見返すことはほぼありません。研修動画を一部分だけ見返したときでも理解できるような研修資料を用意しましょう。
3-5.STEP5:出演者を集めて撮影する
撮影に使う会場を手配し、出演者を集めます。撮影作業では、予定よりも時間がかかることもあります。撮影が長引いて十分な編集時間が確保できないとならないよう、編集期間・公開時期から逆算して余裕を持った撮影スケジュールを作成しましょう。
また、研修動画であっても、終始場面が切り替わらない映像や手ブレのある映像では、受講者が途中で集中を切らす可能性があります。雑音が入って講師の声が聞こえなければ、研修になりません。撮影時はカメラで複数のアングルを撮影したり三脚を利用したり、講師用のマイクを用意したりするなど、見やすく聞きやすい映像づくりにこだわりましょう。
3-6.STEP6:映像を編集する
撮影が終わったら動画編集ソフトを使った編集作業に入ります。録画形式の研修動画の場合は、余分なカットの削除や字幕の挿入を行いましょう。余分なカットを削除することで間延びせず、テンポのよい動画に仕上がります。「不要な部分がないか」「重複している部分はないか」といった視点で、動画全体の長さを調節することも重要です。
また、研修動画で強調したい部分には字幕を入れましょう。字幕の種類によって、研修動画の雰囲気は変わります。テーマに沿った字幕を選び、統一感を持たせましょう。
カット編集のコツやテクニックについては、下記の記事でまとめています。
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4.研修動画を活用した事例
研修動画を作る際は、どのような映像に仕上げたいのか、具体的なイメージを持つことが大切です。研修動画の明確なイメージを持つことで、スムーズな制作進行が可能になるでしょう。ここからは、研修動画のイメージを少しでも膨らますことができるよう、株式会社シードアシストが制作した研修動画の事例を紹介します。
4-1.関電サービス株式会社様
関電サービス株式会社様の研修動画は、安全教育を目的とした約20分の動画です。安全について考えられるよう、些細な油断で起こる災害をドラマ仕立てで表現しています。身近な業務に潜む危険性を伝えるために主観的な映像を使用し、当事者意識を持てる見せ方にした点もポイントです。
また、業務に関わる災害だけではなく、日々の行動を振り返る注意点もまとめています。気を付けるポイントを提示することで、研修動画での気付きを業務に生かせるよう工夫しています。
4-2.阪神金属協同組合様
阪神金属協同組合様の研修動画では、仕事で分かりづらいこと・伝わりづらいことを実例ドラマ風に再現している点が特徴です。日常の業務で起こりがちなケースを研修動画にまとめ、社員教育に活用しています。特に、言葉でのコミュニケーションが取りづらい外国人技能実習生も理解できるよう、ノンバーバルな表現方法で制作している点がポイントです。
また、新入社員や社歴の浅い社員は、状況に合わせた適切な判断が困難なこともあります。研修動画ではさまざまな作業シーンの様子を細かく描いているため、判断基準が分かりやすく、理解を深めることにつながります。
4-3.中央電力株式会社様
中央電力株式会社様では、作業内容を正しく理解してもらえるよう、業務マニュアルを動画にしました。作業量が多くなればなるほど、作業自体の難易度に関わらず理解するのに時間がかかる傾向にあります。研修動画で作業内容を説明することで、理解にかかる時間の短縮化を図ることが可能です。
たとえば、文字や写真だけでは伝わりづらい動作や注意点も、映像であれば瞬時に把握することができます。また、研修動画内では事前準備から実際の仕事まで一通り丁寧に説明し、ポイントをテロップで強調することで、誰でも理解しやすい内容に仕上がっています。
5.研修動画の制作を依頼する場合の相場
研修動画の作成には、費用がかかります。社内に動画撮影・編集に詳しいスタッフがいれば自主制作でも問題ありませんが、クオリティの高い研修動画を作りたい場合は制作会社に依頼するのがおすすめです。
以下は、研修動画の制作を依頼する場合の相場を示した表です。
研修動画制作の依頼先 | 制作費用の相場 |
---|---|
フリーランス | 約5万~30万円 |
動画・映像制作会社 | 約17万~70万円 |
フリーランスと動画・映像制作会社では、フリーランスのほうが安くなる傾向にあります。しかし、フリーランスに依頼する場合、能力次第で動画のクオリティが左右されます。クオリティや納期、実績などの信頼性・安心性を重視したいのなら、動画・映像制作会社に相談しましょう。
下記の記事では、動画・映像制作会社に依頼する際のコツやポイントを解説しています。
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6.メリットを最大化させる!研修動画作成のポイントとは?
研修動画を利用するメリットを最大化させるためには、以下の4つのポイントを押さえた上で、動画を作成することが重要です。
・研修の目的ごとに動画を分ける
研修の目的は何なのか、誰を対象としているのかを明確化することは、研修動画を作成する上で重要なポイントです。学んで欲しい内容をすべて入れ込むよりも、学習テーマを絞った動画のほうが、研修での必修部分が明確に分かるため、学習効果が高まります。
・いつでも動画を見られる環境を整える
研修動画は、同質の内容をいつでも好きなときに、何度でも見られることが特徴です。しかし、視聴環境が悪ければ意味がありません。研修目的や配信日で視聴したい動画を選べたり、安定した配信状態を維持したりするなど、いつでも動画を見られる環境を整える必要があります。
・要点を理解しやすい構成をする
研修の目的が決まったら、伝えるべき内容をリストアップすることも重要です。参加者が研修内容の要点を理解するためには、分かりやすい構成と学ぶための理由付けを考える必要があります。正しい例との比較や、社会的背景の説明を取り入れるなどして、研修動画の構成を工夫しましょう。
・見やすく聞き取りやすい動画にする
研修動画を作成する際は、構成や音質を意識するなど、見やすくかつ聞き取りやすい動画にすることはもちろん、基礎的な知識を研修内容に取り入れることも大切です。作成者が基礎的だと思っている内容は、初心者にとっては難しく理解しにくい場合があります。そのため、参加者の目線で研修動画を作成することが重要です。
上記のほかにも、映像制作のプロに相談することも一つの方法です。映像制作のプロは、動画の制作技術が高いだけでなく、研修内容をより効果的に見せる表現の引き出しも多く持っています。また、映像制作のプロは、研修動画を視聴する参加者の目線も持っているため、安心して研修動画の作成を依頼することができます。
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まとめ
研修動画は、一度作成すれば同質の内容を何度でも視聴することができます。そのため、研修日や担当者・参加者によって研修内容がばらつくことを防げます。また、研修動画はいつでも好きなときに繰り返し視聴することができるため、研修の度に講師を招くよりも、コストを抑えることが可能です。
しかし、研修動画は、誰にどのような研修を行いたいかなど、使用用途に合わせて動画を使わなければ、研修の効果は半減してしまいます。また、研修動画のメリットを生かすためのポイントを押さえた上で動画を作成しなければ、研修の参加者に誤解なく研修内容を伝えることはできません。
当記事を参考に、研修動画の適切な使い方や研修動画のメリットを最大化させる方法を知り、研修を有意義なものにしましょう。
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