YouTube広告とテレビCMはどちらが良い?違いとメリットを解説
一昔前まで動画広告の出稿といえばテレビCMが一般的でした。しかし、近年はインターネットの普及により、YouTubeをはじめとする動画コンテンツの需要が高まり、YouTube広告を活用する企業も増えています。
このような時代の変化を受けて、YouTube広告とテレビCMのどちらを導入するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、YouTube広告とテレビCMの違い、双方のメリット・デメリットを詳しく解説します。
目 次
YouTube広告とテレビCMはどちらが良いか
結論からお伝えすると、YouTube広告とテレビCMのどちらが良いかは、一概には言い切れません。それぞれに強みがあるほか、目的によっては併用することでより良い効果を得られる場合もあります。YouTube広告は、ターゲットを絞った広告活動が可能であり、特定の興味関心やデモグラフィック(年齢、性別、居住地、家族構成、職業など人口統計学的なデータのこと)を持つオーディエンスに対して、効果的にリーチできます。
一方、テレビCMは幅広いオーディエンスにリーチでき、ブランド認知を目的とする場合に有効です。視聴者の年齢や興味関心が広範にわたるため、多様な層にアプローチできます。
YouTube広告とテレビCMの違い
YouTube広告とテレビCMには、主に以下のような違いがあります。両者の違いを次項で詳しくみていきましょう。
・媒体の違い
・視聴者層の違い
・広告費用の違い
・見せ方の違い
・効果検証の可否の違い
媒体の違い
まず、テレビCMはさまざまな年齢層の視聴者にリーチできます。
一方、YouTube広告はスマートフォンやパソコンなどインターネットに接続されたデバイスを通じて配信され、外出中や移動中の視聴者にもリーチが可能です。YouTubeは全世界で利用されており、広告のリーチが地域に限定されない点も大きな特徴といえます。
また、YouTube広告はデジタル媒体のため、配信時間を自由に設定でき、ターゲットにあわせた柔軟な広告戦略もとりやすいです。
視聴者層の違い
テレビ広告は老若男女を問わず広い視聴者層にアプローチできる半面、近年は若者のテレビ離れが指摘されており、テレビ視聴者の中心は高齢者層になりつつあります。そのため、若い年代に向けてリーチしたい場合は、テレビ広告だけでは不十分かもしれません。
一方、YouTube広告は主に10代から30代の若年層にリーチしやすい特徴がありますが、最近ではスマートフォンの普及により、広い世代にも届きやすくなっています。
広告費用の違い
YouTube広告とテレビCMでは、費用の仕組みも大きく異なります。テレビCMは放送局や放送時間帯、番組の人気度によって大きく変動し、制作費用を含めると大規模な予算が必要となるケースが多いです。
一方、YouTube広告は低予算からはじめやすく、費用対効果を検証しながら予算調整ができます。クリックや視聴にもとづく課金制度が取り入れられているため、実際に広告効果があった場合にのみ費用が発生する点も魅力の一つです。
見せ方の違い
テレビ広告は、番組の視聴者に最後までみてもらえる前提で制作されています。そのため、広告全体を通して商品やブランドのイメージを向上させる見せ方がしやすいです。
一方、YouTube広告は興味がなければ視聴者によってスキップされることもあり、冒頭5秒間で視聴者の興味を引く必要があります。YouTube広告は、短時間でインパクトを与える広告が主流です。
効果検証の可否の違い
テレビCMは、視聴者の行動を広告効果として直接測定することは難しく、一般的には大まかな推測に頼るしかありません。
これに対して、YouTube広告では表示回数、クリック数、視聴回数などの具体的なデータをリアルタイムで確認できます。そのため、YouTube広告はキャンペーンの効果を正確に評価し、必要に応じて迅速に広告戦略を調整できます。
YouTube広告とテレビCMの現状
近年、YouTube広告の市場は拡大傾向にあり、テレビCMの市場は減少傾向にあります。
株式会社電通の調査レポート「2022年日本の広告費」によると、2022年の地上波テレビの広告費は、前年比97.6%の1兆6,768億円でした。
一方、株式会社サイバーエージェントによる「2022年国内動画広告の市場調査」では、2022年のYouTube広告を含む動画広告市場規模は昨年比133.2%の5,601億円と成長中です。
動画広告市場は今後も高い成長率で推移することが考えられ、2026年には1兆2,451億円に達すると予想されています。YouTube広告市場に限ると、テレビCM市場の規模にはまだ及ばないものの、急速な市場拡大は無視できません。
テレビCMのメリット
続いて、テレビCMのメリットを解説します。具体的には以下の3つです。
・認知度を高めやすい
・ブランドイメージの向上につなげやすい
・購買につながりやすい
認知度を高めやすい
内閣府経済社会総合研究所の「消費動向調査」によると、テレビCMは2人以上の世帯で96.2%という普及率の高さを誇ります。そのため、短期間で商品やサービスの認知度を飛躍的に高めるポテンシャルがあります。特に、新しい商品やブランドを市場に導入する際は、テレビCMが有効でしょう。
また、テレビは老若男女問わず幅広い層に視聴されており、不特定多数のターゲットにリーチ可能です。
ブランドイメージの向上につなげやすい
テレビCMは、単に商品やサービスを紹介するだけでなく、企業のブランドイメージを向上させる効果も期待できます。
CMの制作において視覚的要素や音楽、キャッチコピーなどを駆使すれば、CMの雰囲気、世界観からブランドの個性や価値観を効果的に伝えることも可能です。
高品質な映像や印象的なメッセージは視聴者の記憶に残りやすく、ブランドへの好感度や信頼感を得やすい点もテレビCMのメリットといえます。
購買につながりやすい
テレビCMは、認知度の向上やブランドイメージの定着のほかに、最終的な購買行動にも大きく影響を与えます。
スマートフォンで検索をするユーザー向けの広告とは違い、テレビCMは幅広いターゲットに対して見込み客の母数を増やせる点が魅力です。結果として購買機会を増加させ、全体の売上アップが期待できるでしょう。
テレビCMのデメリット
テレビCMにはメリットがある一方、Web広告のような精度の高いターゲティングや、詳細な効果検証ができないというデメリットもあります。
ターゲティングの精度が低い
テレビCMでは、放送時間帯や番組の性質を考慮してターゲット層を大まかに想定できるものの、Web広告のような高度なターゲティングは期待できません。
メッセージに興味を持つ可能性があるユーザーにアプローチできないケースも起こり得るため、既に高い認知度を誇っている商品に対しては、広告効果が得にくい可能性があります。
効果検証が難しい
テレビCMの影響を数値化することは困難なため、キャンペーンの評価には間接的な指標や推定値が利用されます。
例えば、CM放映前後のブランド認知度の変化や売り上げの増減などから効果を推測する方法があります。しかしながら、これらがCMの影響によるものかどうかは簡単には断定できません。
YouTube広告のメリット
ここからは、動画市場で多くの企業が導入しているYouTube広告のメリットをみていきましょう。
・詳細なターゲティングが可能
・テレビでのYouTube視聴が増えている
・費用を抑えやすい
詳細なターゲティングが可能
YouTube広告は、番組の視聴者全てに配信されるテレビCMと異なり、年齢、性別、興味・関心、視聴履歴などのさまざまなデータをもとにターゲットオーディエンスを特定できます。
ターゲットがどのような人物であるか、設定するペルソナが詳細であればあるほど、ピンポイントでアプローチすることが可能です。
テレビでのYouTube視聴が増えている
いまやYouTubeは若年層だけでなく、幅広い年代が利用するメディアです。特に、コネクテッドテレビ(インターネットに接続されたテレビ端末)でのYouTube視聴者数は増加傾向にあり、家族や友人との共視聴も盛んになっています。
ビデオリサーチが2023年に行った関東地区の692世帯/1,516人の分析・研究データによると、コネクテッドテレビは若い親子世代が動画視聴の中心となっています。男女4〜12才で4割以上、男女とも35〜49才で3割以上が1週間以内にコネクテッドテレビで動画を視聴していることも分かります。
テレビでのYouTube視聴者数の増加は、広告主にとって大きなチャンスといえるでしょう。
費用を抑えやすい
テレビCMと比較すると、YouTube広告ははるかに低予算からスタートでき、広告主は予算に応じて広告キャンペーンを調整できます。
また、YouTube広告は視聴されない限り費用が発生しないため、無駄な広告費用を支払うことがありません。
YouTube広告のデメリット
YouTube広告はリーチ力とターゲティングの精度で注目されていますが、YouTube広告ならではのデメリットも存在します。
・広告動画をスキップされやすい
・ネガティブな印象を持たれてしまう可能性がある
広告動画をスキップされやすい
YouTube広告は、視聴者が広告をスキップできます。特に、スキッパブルインストリーム広告の場合、視聴者は広告がはじまって5秒後にはスキップボタンを押すことが多いです。
つまり、はじめの5秒でユーザーの注意を引けなければ、広告効果を十分に発揮できません。アピールチャンスが限られる中で視聴者がスキップしないようにするには、高品質で魅力的なコンテンツを制作する必要があります。
ネガティブな印象を持たれてしまう可能性がある
YouTube広告はユーザーに強制的に表示されるため、ネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。目当ての動画を視聴しようとした際に、意図しない広告が挿入され、視聴体験が損なわれたと感じるユーザーも少なくないからです。
広告内容がユーザーの興味・関心と合致しておらず、不快感を与えてしまえば、ブランドイメージの低下につながるおそれがあります。
ネガティブな反応を最小限に抑えるためには、ターゲティングの精度を高め、ユーザーにマッチした広告コンテンツの提供が不可欠です。
YouTube広告とテレビCMの違いとメリットを把握し、効果的なCM制作を進めていきましょう
テレビCMは広範囲なリーチと信頼性を、YouTube広告は精度高いターゲティングとコスト効率の良さを生かして、適切なマーケティング戦略を立てましょう。
また、YouTube広告は最初の5秒間のクオリティが重要で、スキップされない広告でなければなかなか効果を得られません。
なお、時代の変化とともに、YouTube広告の重要性は増していますが、テレビCMとの併用でそれぞれの弱点を補いあえます。
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