テレビCMの音量ルール!広告主が知っておきたい基礎知識
ひと昔前まで、テレビを視聴しているとき「CMに切り替わると音量が大きくなる」と感じた経験はないでしょうか?
かつては、CM中の音量について苦情が寄せられることもありましたが、現在は音に関する新しい規準「ラウドネス」の運用によって、大きく減少しています。
そこでこの記事では、ラウドネスの概要をはじめ、テレビCMの放送に関するルールを詳しく解説します。考査基準や考査に通らないCMの例についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
目 次
テレビCMの音量制限ルールについて
テレビCMの音量について「音が大きい」といった視聴者からの苦情を受け、2012年10月に民間放送連盟加盟のテレビ局が、CMの音に関する新しい規準「ラウドネス」の運用を開始しました。
テレビ放送の音量や音質を適正で、かつ視聴者が聴きやすいものにするために、テレビ番組やCMでは平均ラウドネス値が−24.0LKFS(Loudness K-weighting relative to Full Scale)と決められています。
ラウドネスの運用開始によって苦情は減少したものの、中には演出として静かなシーンから突然、音が大きくなるシーンへの移行を取り入れているものもあり、このようなCMに対する苦情は現在もあるようです。
ラウドネスとは人が耳で感じる音の大きさのこと
そもそも「ラウドネス」とは、人間の耳が音の刺激を受けたときに生まれる、音の大小に関する感覚の程度のことです。ラウドネスは「高音のほうが低音よりも大きく聞こえる」など、周波数特性も考慮します。
周波数特性により、特性の異なる音は、強さが同じでも大きさが同じとは限りません。同じ番組内でも一部の音量だけがうるさく感じるという声があるのは、周波数特性が原因だと考えられます。
ラウドネス運用以前のテレビCMの音声レベルは、周波数特性が考慮されないアナログの「VUメータ」という電圧計で計測された電気信号の大きさを基準値にしていました。
しかし、人が実際に感じる音の大小とVUメータの測定値は必ずしも一致せず、 音量感にばらつきが出てしまうことから、ラウドネス値を用いた新運用規準が適用されることになったのです。
ラウドネスの運用が始まる前の状況
「CMに切り替わると音量が大きくなる」など、ラウドネスの運用が始まる前までに寄せられた苦情は、主に以下のようなことが原因として考えられます。
・アナログテレビ放送からデジタルテレビ放送になったことで音量感のばらつきが顕在化した
・同じ大きさの音であっても実際には聴こえ方が違った
しかし、ラウドネス値を用いた規準では、一つの素材につき一つの平均ラウドネス値が決定されるため、明確な数値規準となります。これにより、かつてのVUメータによる測定の曖昧さを解決し、音量感にばらつきの少ないCMが提供可能となりました。
音量制限だけではない!テレビCMの基礎ルール
ラウドネスに続いて、ここからはテレビCMの放送に関する基礎ルールを見ていきましょう。
CMの尺
テレビCMの尺と呼ばれる長さは「15秒」もしくは「30秒」が一般的です。訴求したい商品やサービスの認知度が低い場合は、15秒の尺ではなく30秒の尺にすることもあります。
また、テレビの制作には企画費・キャスティング費・撮影費・編集費などがかかります。テレビCMを15秒の尺で制作しても30秒の尺で制作しても、費用と手間にそれほど大差はありません。
15秒の尺と30秒の尺で大きく内容を変えないのであれば、双方の尺のテレビCMを同時に制作しておくと良いでしょう。
CMの種類
テレビCMには、大きく分けると「タイムCM」と「スポットCM」の2種類があります。
タイムCMは、番組のスポンサーとなりテレビCMを放送する方法です。基本的に30秒のCMしか放送できません。番組内で提供クレジットにて社名が表示され、番組放送枠内でテレビCMが流れます。一般的に、単発でタイムCMを流すことはなく、長期契約を締結してテレビCMを放映します。
一方スポットCMは、テレビCMの放送期間や曜日、時間帯などを指定し、その指定範囲でランダムにテレビCMを流す方法です。スポットCMの放映費は「放送局が定める放映費×視聴率」によって決まります。スポットCMは、曜日や時間帯だけでなく「近畿地方のみ」「お正月の3日間」など、地域や期間を指定できます。
テレビCMの放送は「考査」をクリアする必要あり
各テレビ局にはCMに関する「考査基準」があり、広告主がテレビCMを放送するためには考査をクリアする必要があります。
CM考査には「業態考査」と「表現考査」があり、広告主の業態(サービス内容)とCM表現が、日本民間放送連盟の放送基準やテレビ放送局独自の基準、各業界に関する法律を満たしていなければなりません。
次項で詳しく解説します。
業態考査
業態考査とは、広告主である企業などに対して行われる審査です。業種や商法、商品・サービスの種類などを確認し、企業の健全性・信頼性などに関して審査が行われます。業態考査には、通常1カ月ほどかかります。
業態考査では一般的に、以下のような書類の提出が求められます。
・会社概要や会社案内
・履歴事項全部証明書
・連絡先
・商品現品
・商品説明書
・商品の広告原稿(CM絵コンテ)
・広告表現に関連する根拠資料
など、その他にも説明のための資料などが必要になるケースがあります
関東や関西の放送局の中には「広告審査協会」という組織に、業態考査の協力を依頼する場合もあります。
表現考査
表現考査とは、テレビCMの内容に関する考査です。具体的には、以下の基準を満たしている必要があり、表現考査は通常1〜2週間かかります。
・放送基準に抵触していないか
・各種法令に違反していないか(いわゆる薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や不当景品類及び不当表示防止法など多数)
・業界の自主基準や公正競争規約などに違反していないか
・視聴者に不利益を及ぼさないか
ただし、改稿要請による修正が入る場合には、審査に1〜2カ月かかることもあるため注意が必要です。
審査に通らないNG例
CM考査では、法令を遵守しているか、放送基準に沿っているかが重要なポイントとなります。
時代の変化に伴って放送基準も変わっていくため、以前は問題なかった表現でも、現在は問題となることが少なくありません。そのため、広告会社と連携し、現在の考査基準を十分に把握したうえで、CM考査を通過できるよう対応していく必要があります。
ここからは、どのような場合に審査落ちとなるのか、その事例を紹介します。
【業態考査編】審査落ちの例
業態考査は、業種や商法、商品・サービスの種類などを確認し、企業の健全性・信頼性などに関して審査が行われ、以下のような場合は審査落ちする可能性があります。
審査落ちの例
▼業種・企業
・日本国内に住所や対応窓口がない企業実態が疑わしい企業
・商品やサービスの提供に必要な許認可や届け出がない企業
・消費者庁に繰り返しクレームあり、改善などの指示を受けた企業
▼商品・サービス
・根拠が疑わしい視聴者にとって不利益なもの
・占いや心霊術といった科学的根拠に欠けるもの
▼商法
・キャッチ商法やマルチ商法、催眠商法など
【表現考査編】審査落ちの例
表現考査は、テレビCMの内容についての考査です。放送局によっては、具体的に審査で確認する項目を開示している場合もあるため、事前に確認したうえでCM企画を考えるようにしましょう。具体的には、以下のような表現があった場合に審査落ちをする可能性があります。
審査落ちの例
▼健康食品
・「病気が治る」「がんに効果がある」など、誇大広告の可能性がある表現
▼金融関連
・貸付条件を明示しない表現
・借り入れを助長するような表現
▼ゲーム
・閃光や光の点滅、変化の激しい表現
・暴力的すぎる表現
ただし、上記に該当しても放送局から改稿を求められて修正をした場合は、審査に通過するケースもあります。また、細かい審査基準や対応方法は、放送局によって異なる場合もあるため、この点にも注意が必要です。
テレビCMの制作はルールを十分に理解することが重要
テレビCMを制作し放送するためには、ラウドネスへの対応に加えて、CM考査への対応が必要です。
前述した考査基準は、社会情勢などにも左右されますし、最終的にはテレビ局が放送可否を判断します。このため、日頃から考査基準の動向を観察していくことも大切なポイントといえます。
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