動画マーケティングでブランディング戦略を成功させる方法
目 次
動画マーケティングとは
動画マーケティングとは、映像コンテンツを活用して自社の商品やサービスの魅力を発信し、集客や宣伝を行う手法です。商品やサービスの認知度向上やブランディング、コンバージョン率の改善を主な目的としています。
映像コンテンツはデジタル化されているため、マーケティングにおいて重要なデータの測定と分析がしやすい点が特徴です。SNSやYouTubeなどのプラットフォームでは、「総再生回数」や「視聴時間」「1回あたりの平均視聴時間」などの数値がわかるため、効果測定が容易に行えます。
また、映像コンテンツは画像やテキストに比べて一度に伝えられる情報量が多く、視覚的にわかりやすく伝達できるという強みもあります。
動画広告の市場規模の推移
出典:サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を発表
サイバーエージェントの調査によれば、2023年における国内動画広告市場規模は前年比12%増の6,253億円に達しました。そして、同市場規模は2024年には7,209億円、2027年には1兆228億円に達すると予想されています。
また、2023年の同市場規模6,253億のうち、スマートフォン向けの動画広告の市場規模は全体の約8割となる5,048億でした。同調査では、スマートフォン向けの動画広告規模は今後も同程度の比率を保つと予想されています。
さらに、動画広告市場規模におけるスマートフォン向けの比率が非常に高いことから、スマートフォン向けに提供されるインバナー広告やスマートフォンの画面の形状と相性のよい縦型動画広告の需要が高まっています。
今後も安定して動画広告市場は拡大し続けると予測されているため、動画マーケティングの重要性も高まっていくでしょう。
動画マーケティング注目されている理由とは
なぜ、動画マーケティングが注目されているのでしょうか。ここでは、主な理由を3つ解説します。
スマートフォンが広く普及しているため
動画マーケティングが注目される背景には、スマートフォンを持つ人が増えたことや、YoutubeやTikTokといったプラットフォームがユーザーに活用されるようになったことが影響しています。
総務省の「令和5年通信利用動向調査」によれば、2023年にスマートフォンを保有している世帯割合は90.6%でした。また、同年の個人でスマートフォンを保有している割合は78.9%に達しています。
スマートフォンを持つ人が増え、YoutubeやTikTokといった動画プラットフォームが普及したことで、インターネット環境さえあれば多くの人が手軽に動画を視聴できるようになりました。そのため、自社の宣伝を効果的に行うための動画マーケティングが注目されるようになったのです。
動画コンテンツの情報伝達力が高い
動画は、テキストや画像と比較して多くの情報を伝達することが可能です。一説には、動画はテキストの5,000倍もの情報を伝えられるとされており、その伝達力の高さの影響で、動画を効果的に活用する動画マーケティングを重要視する企業が増えています。
Forrester Research(アメリカの調査会社)のJames L. McQuivey博士によれば、1分間の動画の情報量は、テキスト換算で180万語、Webページ換算で約3,600ページに匹敵します。180万語のテキストやWebページを読むのには膨大な時間と労力が必要です。しかし、1分間の動画であれば、苦労することなく視聴できるでしょう。
通信環境が発達している
通信環境の発達により動画が快適に視聴できるようになったことも、動画マーケティングが注目される背景のひとつです。
日本では5Gが2020年に導入され、通信環境がさらに改善されました。5Gは従来の4Gと比較して通信速度が20倍、遅延は10分の1で、同時接続台数は10倍とされています。
2023年8月時点で、日本の5Gの人口カバー率は96%に達しています。そのため、容量が大きい動画でも、快適でスムーズに視聴できるようになりました。また、動画の読み込み時間が短くなることで、視聴者の動画プラットフォーム内の回避性が高くなり、連続して複数の動画を視聴する可能性も高まっています。
企業が動画マーケティングを活用するメリット
企業から注目を集める動画マーケティングですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
印象に残る広告を作成しやすい
動画は、動きがあることで本能的に目を奪われやすく、視覚だけでなく聴覚にも訴えかけられる点が特徴です。さらに、撮影方法やBGM、テロップ、ナレーションなどを駆使した多様な表現により、視聴者の感情移入を促しやすく、テキストや画像と比べても記憶に残りやすいコンテンツです。
動画マーケティングを利用すれば、上記のような特性を活かして、視聴者に自社の商品やサービスをより強く印象づけることができます。
SNS上に拡散されやすい
動画は広がりやすいデジタルコンテンツで、SNSでの拡散のしやすさが動画マーケティングの強みの一つです。
多くのSNSにはシェア機能や動画リンクの投稿機能があり、使い方も簡単です。そのため、ユーザーが「面白い」「誰かに見せたい」と思ったらすぐに共有できます。印象的な動画を作れば、視聴者が自発的に広めてくれる可能性が高くなるでしょう。
視聴者によるSNS上での動画の拡散は、企業の公式発信や広告よりも効果的に幅広い層に届くことがあります。魅力的な動画コンテンツをつくることで、視聴者自身がマーケティングの担い手になることにつながるのです。
さまざまなコンテンツに活用できる
SNSや動画配信サイト、自社サイトなど、動画投稿できるプラットフォームは複数あります。そのため、一つの動画を通してさまざまな媒体から視聴者にアプローチすることが可能です。
また、SNSや動画配信サイトの広告はシステム的にターゲティングを行いやすいため、商品・サービスを知ってもらいたいターゲットの性別や年齢、興味・関心などから広告を発信する相手を絞ることができます。ターゲティングを行うとともにターゲット層に合わせた出稿媒体を選べば、費用を抑えつつ効果的な認知獲得も叶えられるでしょう。
動画広告の効果検証が行いやすい
Web上の動画広告には優れた分析ツールがたくさんあり、多くの企業が利用しています。これらのツールを使うと、「総再生回数」や「視聴時間」、「1回あたりの平均視聴時間」、「クリック率」、「コンバージョン率」といったKPIを設定可能です。
これらのKPIを用いて効果測定を行うことで、動画広告の課題を明確にできます。そして、この分析結果をもとにPDCAサイクルを回すことで、次回制作する動画コンテンツの質の向上につなげることができるのです。
動画マーケティングでのブランディング事例4選
動画マーケティングを活用し、効果的な動画を制作することで、ブランディングに成功した企業がいくつもあります。ここでは、シードアシストが制作した事例を4つ紹介します。
有限会社 湧元様
海外のファッション業界と日本の産業をつないでいる有限会社湧元様のご依頼で、近江上布の海外販路開拓のために制作したブランディング動画です。
この動画は、近江上布の最大の特徴である「良質な自然水を使って手もみ洗いし、天然の大麻から糸を紡ぐという究極の手仕事」を映像に凝縮し、製品訴求へつながるようなコンセプトで制作されています。海外のファッション業界がターゲットとなることを踏まえ、ストイックな雰囲気を醸し、日本の自然と人間の関係性を感じさせるような楽曲を使用しています。
KAPTURE™様
株式会社フジキン様
ALAKI株式会社様
動画マーケティングの活用例
以下は、動画マーケティングの活用事例です。
会社紹介動画
会社紹介動画では、ビジネスの理念や商品・サービスの特徴を視聴者に伝えることができます。
また、会社の雰囲気や社員の声を含めることで、視聴者により深く会社を知ってもらうことができます。
このような動画を制作する際は、会社のブランドイメージやターゲット顧客を考慮し、映像の構成を考えることが重要です。また、BGMやテキストを追加することで、より効果的で分かりやすい映像を作成することができます。
商品のデモンストレーション動画
商品のデモンストレーション動画では、製品やサービスの使い方を視聴者にわかりやすく伝えることができます。
商品の魅力を引き出し、購入につながることがあります。このような動画を制作する際は、視聴者が求めている情報や視聴者を楽しませる工夫が重要です。また、音楽やテキストを追加し、より魅力的な映像を作成することができます。
ハウツー動画
ハウツー動画では、製品やサービスの使い方を視聴者にわかりやすく伝えることができます。
例えば、製品であるツールからアプリなどの無形商材まで、様々な商品を実際に使用して実演します。
このような動画を制作する際は、視聴者が飽きないで最後まで見させる工夫が重要です。
単調な構成にならないように、ナレーション、音楽、テロップなどを追加して、より効果的な映像を作成しましょう。
VR動画・AR動画
VR動画(仮想現実動画・バーチャル映像)は、専用のヘッドセッドやゴーグルを装着し、まるでその世界に入り込んだかのような臨場感を味わえる、没入型の映像体験です。立体的な映像と方向感のある音声に加え、顔や体の動きに合わせて変化する映像がリアルさを生み出します。体験として情報を伝えられるため、視聴者はより深く商品やサービスの魅力を理解できます。
一方、AR動画(拡張現実動画)は拡張現実技術を活用した動画です。スマートフォンなどに専用のアプリケーションをダウンロードし、特定のモノにカメラを向けると商品説明などの動画が流れます。これにより視聴者のエンゲージメントを高め、より効果的なマーケティングが可能になります。
インフルエンサーとのコラボ動画
インフルエンサーとのコラボ動画では、企業が有名なインフルエンサーとコラボレーションし、そのインフルエンサーのファンをターゲットにした動画を制作することができます。
これにより、企業のブランドを知ってもらいやすくなり、商品やサービスへの関心を高めることができます。
動画マーケティングの効果を上げる方法
動画マーケティングの効果を上げるためには、以下のような方法があります。
動画SEOを最適化する
動画が検索で上位表示されるように、ページのテーマに沿った内容の動画を埋め込むようにしましょう。
また、Googleが動画の内容を判別しやすいように、構造化データマークアップを最適化しましょう。構造化マークアップとは、Googleのクローラーにテキスト情報やコンテンツ内容を適切に理解してもらう記述方法のことです。
ターゲット顧客にあったコンテンツを提供する
動画マーケティングを活用する場合、ターゲット顧客に合わせたコンテンツを提供することが重要です。
視聴者が求めている情報やエンターテインメントを提供することで、視聴者の興味を引きつけ、商品やサービスへの関心を高めることができます。
目標設定と効果測定を行う
動画マーケティングの効果を高めていくには、KPI(重要目標達成指標)を定めて定期的に効果測定を行い、その結果を受けて動画の内容を改善することが大切です。
動画広告の目的に合わせて以下のようなKPIを設定し、一定の期間内でKPIが達成されたか効果測定を行いましょう。
・総再生回数
・視聴時間
・1回あたりの平均視聴時間
・クリック率
・コンバージョン率
そして、結果を踏まえてPDCAを回せば、クリエイティブや次に制作する動画の内容を改善でき、動画マーケティングの効果を高めていけます。
伝えたい要素を絞り短時間の動画にする
離脱が少なくなる理想的な動画の尺は、1分から2分程度とされています。離脱が起きやすいのは最初の10秒のため、その10秒で視聴者の興味を引く演出や仕掛けをつくることが重要です。
一般的に、動画が長くなるほど視聴者が離脱しやすくなります。そのため、動画は伝えたい項目を絞り、簡潔な内容となるように心がけましょう。また、動画開始10秒で視聴者が「期待していた内容の動画だ」・「面白そうな動画だ」と思われなければ離脱してします。
冒頭で動画の概要や重要なメッセージを伝えるなどの工夫により、視聴率を維持しましょう。
YouTubeやSNSを使った動画広告
動画マーケティングの一つの効果的な活用法として、動画広告があります。
YouTubeやFacebookなどのプラットフォームを使って、ターゲット顧客に直接動画広告を届けることができます。
また、広告のクリエイティブ性を高めることで、視聴者の興味を引きつけ、商品やサービスを知ってもらうことができます。
動画広告の各出稿媒体の特長
以下に、Youtube、Instagram、LINE、TikTok、Facebookでの動画広告の特長を記載します。
Youtube
・広告の選択肢が豊富で、ターゲット層に合った広告を出すことができる。
・動画広告の視聴時間が長く、広告のメッセージがより伝わりやすい。
・広告の再生回数や視聴率など、細かいデータを分析することができる。
・インフルエンサーや有名人が利用しているため、広告の露出が高い。
・フィード広告・ストーリーズ広告・ディスカバリー広告・リール広告など、様々な形式の広告を出すことができる。
・ユーザー層が若いため、若年層をターゲットにした広告を出すことができる。
LINE
・ユーザー層が幅広いため、様々なターゲットに向けた広告を出すことができる。
・友だち登録をしているユーザーへも配信でき、エンゲージメントをさらに高められます。
・静止画広告はテキスト量が制限されるが、動画広告にはそのような制約はなく表現の幅が広がります。
TikTok
・ユーザー層が若いため、若年層をターゲットにした広告を出すことができる。
・ユーザーの興味や関心に応じた広告を出すことができる。
・アプリ内の音源を使用でき、人気の曲を使えば印象に残りやすく効果的です。
・広告のターゲット設定が細かい。特に「意思決定者」に絞ったターゲティングができBtoB広告に向いている。
・実名制を採用しているので信憑性の高い広告配信が可能です。
・広告の成果を測定することができる。
動画マーケティングで成功した例
©2014 Suntory Beverage and Food Limited All Rights Reserved.
この動画は、サントリーの炭酸飲料「C.Cレモン」が仕掛けた動画マーケティングであり、当時YouTubeで国内外で話題になったバイラルムービー(※1)です。
サントリー「C.Cレモン」は2014年7月「青春動画プロジェクト」の第一弾として「忍者女子高生 Japanese Schoolgirl Chase」をYouTubeで公開しました。
学校から撮影場所の熱海の観光名所から商店街までを飛び回り、忍者のように追いかけっこする映像が世界的に話題となり、公開から1週間で約350万回の再生回数を記録しました。
「忍者女子高生」は、学生服を着た女子高生がまるで忍者のように、キャッチーな音楽や軽快なアクション(パルクール※2)で障害物を巧みに乗り越えていく様子をコミカルで爽やかな動画にしています。
「忍者女子高生」キャンペーンは、視覚的なインパクト、ユーモアとパフォーマンス、SNSでの拡散力とコミュニケーションという要素を巧みに組み合わせたことで、効果的なCMキャンペーンとなりました。
視聴者はキャンペーンに興味を持ち、ブランドへの関心を高めることができました。
また、CMの視聴体験が楽しく、共感を生み出す要素が多かったため、視聴者が積極的に参加し、口コミや共有を通じて広がりを持つことができました。
(※1)バイラルムービーとはインターネット上の口コミ(ブログ、SNS、BBSなど)で話題となることを目論んで制作され、ネット配信される動画マーケティングCMのこと。
(※2)パルクールとは、障害物を駆使して、空間を効率的に移動する技術のこと。フランスのレイモン・ベルと、息子ダヴィッド・ベルによって考案され、ダヴィッドが仲間と結成した「ヤマカシ」というグループのパフォーマンスがリュック・ベッソンの映画『YAMAKASI』などで取り上げられ有名になりました。
動画マーケティングで自社のブランディングを進めよう
動画マーケティングとは、映像コンテンツにより商品やサービス、自社の魅力などを発信し、集客活動や宣伝活動、販売戦略を行うことを言います。スマートフォンが普及し、通信環境が発達したこともあり、情報伝達力が高い動画を活用する動画マーケティングは注目を集めています。
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