テレビCMの作り方とは?注意点と成功事例も紹介
テレビCMは完成するまでに多くの工程を必要とするため、制作する際はあらかじめ具体的な作り方の流れを知っておくことが重要です。
そこでこの記事では、テレビCMを作る際の流れと、CM制作をはじめる前に確認しておきたいことを詳しく解説します。
また、テレビCMで効果を出すためのポイントや企業の成功事例についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
目 次
テレビCMを作る際の流れ
テレビCMを作る際の流れは、大きく分けて以下の手順で進められます。
1.キックオフミーティング
2.企画
3.絵コンテ
4.撮影
5.編集
6.納品
キックオフミーティングと企画でテレビCMの方向性を決定し、絵コンテに沿って撮影した映像の編集を行った後、テレビ局に納品して完了となります。次項で詳しくみていきましょう。
1.キックオフミーティング
キックオフミーティングでは、広告代理店・CM制作会社が同席のもと打ち合わせを行います。ここでは、CMを通じてどのようなターゲットに何を伝えたいのか、さらにはどのような効果を狙ったCMを作るのかを、制作会社や広告代理店に説明します。
説明を受けた広告代理店は後日、CMのコンセプトを示しながら、おおまかな制作費や納品までのスケジュールを提案します。
この段階では、自社と広告代理店、そしてCM制作会社との間で認識のズレが生じないよう、お互いの考えを共有したうえで次のステップへと進むことが大切です。
2.企画
前段で行った打ち合わせの内容をもとに、CMを制作するスタッフを集めて企画を練ります。
理想とするCMを制作できるかどうかは企画次第です。そのため、CM全体のストーリーやイメージはもちろん、強調したいポイントや演出手法などメインとなる部分を具体化して固めておくことが大切です。
例えば、既にテレビで流れている競合他社のCMと類似したCMにしてしまうと、視聴者に誤解を与えかねません。他社のCMはあくまで参考程度にとどめ、差別化をはかり独自性を持たせることが大切です。
3.絵コンテ
絵コンテとは、シナリオの流れにあわせて絵と説明文をつけた表のことを指し、CMを制作するためのいわば設計図のようなものです。
おおまかな演出プランやキャッチコピー、セリフやナレーションなどを絵コンテの段階で決めていきます。制作会社が作成した絵コンテが、企画や希望に添っている内容かどうかを確認し、意図したものでなければ手直しを申し出ることも可能です。
制作会社によっては複数提案した絵コンテの中から、希望に添った提案を選択したり他の案同士を組み合わせたりして絵コンテを制作するケースもあります。
4.撮影
撮影準備を整えた後は、絵コンテに沿った台本をもとに撮影します。演者と監督、カメラオペレーターだけでなく、照明や音声などの担当者と事前に決めておいた役割に沿って撮影を進行します。
撮影が行われる場所は制作したい映像シーンによって異なりますが、主にスタジオか屋外、ロケーション撮影と3つの方法があります。
5.編集
CMの出来栄えを大きく左右する工程が編集です。編集には仮編集と本編集の2つがあります。
仮編集とは、実際に撮影した映像を指定した秒数となるようカットしてつなぎあわせる作業のことです。仮編集後は試写を行い、必要に応じて変更や修正を加えた後、本編集へと進みます。
本編集では、仮編集した映像にテロップやイラストを追加し、セリフやナレーション、BGMを加えて最終仕上げを行います。
6.納品
本編集が完了したCM映像のデータを最終チェックし、問題がなければテレビ局に納品します。テレビ局では、CM内容が放送倫理基本綱領という規定を守られているか、CMとして放送しても問題ないのかをチェックするための考査が行われます。
考査を通過すれば、後はテレビ局と契約した放送枠にあわせてCMが放送されるのを待つだけです。
なお、考査には業態考査と表現考査の2種類があり、表現考査は仮編集の段階で依頼することができます。仮編集の段階で依頼しておくと早期に修正が必要な箇所を発見できるため、後になってからの修正よりも手間がかからず制作をスムーズに進めやすいです。
テレビCMの制作をはじめる前に確認すべきこと
テレビCMを制作したいと考えた場合、はじめる前に決めておきたいことがいくつかあります。
・目的を明確にする
・ターゲットを選定する
・メッセージを絞り込む
目的を明確にする
テレビCM制作時にまず確認すべきことは、テレビCMを活用してどのような効果を得たいのか、その目的を明確にすることです。
「商品を認知してもらいたい」「取り扱っている商品の売り上げを上げたい」など、何らかの目的があるはずですので、目的に応じて企画内容を決めなければなりません。
例えば、商品の認知を上げたい場合は、印象に残るようなインパクトのある内容が求められますし、商品の売り上げを上げるためには、商品の魅力が伝わる構成にする必要があります。
ターゲットを選定する
魅力のあるCMはターゲット選定が適格であり、ターゲットに刺さる内容であることが多いです。
例えば、同じ車のCMでもミニバンであればファミリー層、軽自動車であれば主婦層や若者をターゲットにするなどです。ターゲットを明確にできれば、CMをどの時間帯に放映するか、あるいはどのような番組と相性が良いか、なども決めやすくなります。
なお、ターゲットを選定する際は、対象を広げ過ぎないことがポイントです。ターゲットはできる限り絞るほうが、CMのコンセプトが固まりやすく、狙った効果を発揮しやすいからです。
メッセージを絞り込む
テレビCMで伝えることは、なるべく一つだけにしておきましょう。候補として複数のメッセージが挙げられた場合は、一つにできるまで徹底して絞り込むことが大切です。
仮に、複数のメッセージを盛り込んでしまうと、メッセージが視聴者に伝わりにくくなってしまうかもしれません。一般的なテレビCMは15〜30秒であるため、多くのメッセージを同時に伝えるのは難しいともいえます。
さらに、一つのメッセージに絞るほうが視聴者の印象に残りやすく、CM内容を覚えてもらいやすくなるという側面もあります。
テレビCMを成功させるためのポイント5つ
ここからは、制作会社への依頼を前提としたCM作りにおいて、成功させるためのポイントを解説します。具体的には、以下の5つです。
・制作会社との事前打ち合わせを重視する
・制作会社に意見を出す
・予算を細かい単位まで明確にする
・Webサイトや広告との連動を意識する
・長さを30秒以内にする
制作会社との事前打ち合わせを重視する
制作会社との事前打ち合わせでは、CM制作の方向性や企画内容を決めます。打ち合わせでは十分な時間を確保し、作りたいCMのイメージを伝えましょう。CM制作のコンセプト、情報が伝わりやすいシナリオ構成や演出方法について事前打合せを重ねることで、お互いの認識を共有できます。
事前打ち合わせが不十分だと、完成したCMがイメージと合致しないことになりかねません。小さなズレであれば作業途中で修正できますが、根本的な認識の違いは修正が難しいため、細かい部分まであらかじめ確認しておくことが大切です。
制作会社に意見を出す
制作会社と打ち合わせを重ねるに連れて、時には「意図したものと違う」と思う場面もあるでしょう。このような場合は、積極的に意見を提示することが大切です。
制作会社はCM制作のプロではあるものの、違和感を抱いた時は遠慮せずに意見を述べることも必要です。特に、CMを放映する目的やターゲットといった重要な指標は、しっかりと意図を伝える必要があります。
予算を細かい単位まで明確にする
CMの制作にはさまざまな費用が発生します。見積もりにおける雑費や撮影費などが「一式」としか記載されていない場合は、具体的にどのような部分に費用がどれだけかかっているのか、費用ごとの詳細を出してもらうようにしましょう。
決められた予算を超えないように制作するためには、予算を詳細にわたって明確にしたうえで優先順位付けをすることが大切です。
Webサイトや広告との連動を意識する
CM制作では、Webサイトやインターネット広告などとの関連付けも重要です。テレビCMをWeb広告などに関連付けることで、より大きな広告効果を狙いやすくなります。
例えば、CMの最後にテロップで「〇〇で検索」と入れておくと、より詳しい情報を入手したいと思った視聴者によるWebサイトへの流入が期待できます。Webサイトの閲覧はCMのように放映時間が限られていないため、ユーザーにより多くの情報を届けることが可能です。
長さを30秒以内にする
CMの長さは、30秒以内に収めることを意識してみてください。地上波のテレビCMの枠組みは、基本的に15〜30秒が単位となっているため、それ以上の長さで作成してしまうと、テレビCM用の編集が必要です。
また、30秒以内とすることでさまざまなSNSプラットフォームが規定する長さにも対応でき、他の媒体でも活用できます。
テレビCMの成功事例
テレビCMの成功事例には多くのヒントや気づきがあります。ここでは、テレビCMで成果を上げた企業の事例を紹介します。
エンゲージ
求人メディア「エンゲージ」を運営しているエン・ジャパンでは、認知向上を目的に運用型テレビCMを採用しました。
制作したCMは半年間でおよそ50本あり、まずは地方で放送して効果検証と改善を繰り返し、次は主要都市で同様に検証と改善を繰り返しながら着実にステップアップを続けました。
その結果、CM放送エリアにおける認知率が平均で20ポイントまで増加し、指名検索もCM実施前後の比較で約2倍に上昇したといいます。
田辺三菱製薬株式会社
田辺三菱製薬株式会社は、以前からテレビCMの効果測定に課題を抱えており、新商品のテレビCM出稿のタイミングにあわせて分析ツールを導入しています。
その結果、CM放映後のWebサイトへのアクセス数を把握できるようになり、視聴者の行動が分析可能になりました。さらに検証を続けた結果、平日の午前中と夜の時間帯に加え、土日にアクセス数が高くなるという視聴者の行動パターンを網羅することに成功しています。
CMをみた後の消費行動を、正確なデータとして蓄積する方向へシフトしてから、データへの信頼性が大幅に向上したそうです。
株式会社エバーライフ
健康食品の通信販売事業を展開している株式会社エバーライフは、テレビCMから流入するユーザー心理の分析不足が課題でした。
そこで、テレビCMをきっかけにWebで検索をしたユーザーを対象に、広告媒体の全てにおいてターゲットやメニュー、使用デバイスの精査を並行して実施しています。
その結果、獲得単価を約1/2にまで改善することができたほか、購入率も約2.4倍までの上昇を達成したといいます。テレビCMとWeb広告の連動によって、ユーザーをスムーズに誘導できた好事例といえるでしょう。
ビズリーチ
ビズリーチでは、効果が不透明だといわれがちなテレビCMでも、PDCAサイクルを回してデータを蓄積することが可能だという事実にたどり着き、費用対効果が測定可能なマーケティング施策に変えることに成功しました。
企業のリード数や商談数、求職者の有料登録者数のデータを集め、テレビCMの効果を数字の裏付けによってあらためて実感したといいます。
3カ月間連続でCMを放映した結果、テレビCMはビズリーチの知名度向上に大きく貢献し、それまでは1割にも満たなかった認知度が、関東エリアに限れば9割を超えるまでに上昇したそうです。
誰に刺さるテレビCMを作りたいのかを意識し、成果がでるCMを作りましょう
テレビCMは、商品やサービスの認知度向上だけでなく、企業のイメージアップにも高い効果を発揮します。制作を検討する際は、目的を明確にしたうえでアピールしたいターゲット層を選び、メッセージを一つに絞り込むことを意識しましょう。
また、テレビCMは放映枠にあわせて30秒以内に収めながら汎用性を高めること、そしてWebサイトなどと関連付けることも成功要素となりますが、そのためにはCM制作に精通した制作会社に依頼できるかどうかが一番のポイントです。
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