動画広告の単価は?仕組みと課金方法を媒体別に解説
視覚的に分かりやすい動画広告は、Web広告における効果的な手法として一般的になりつつあります。
そういった背景から、動画広告を利用したいと考える企業が増えていますが、種類や仕組みについて実は詳しく知らないという方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、動画広告の課金形態や種類について紹介します。また、動画広告を成功に導くためのポイントもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
YouTubeの広告収入からみる動画広告の仕組み
YouTubeの広告収入は、広告主によって支払われた広告掲載料が大部分を占めています。
動画配信者は、YouTubeを経由して広告収益を得ており、自身の動画コンテンツの人気が高いほど多くの広告掲載料を得ることが可能です。
動画配信者の広告収入単価は、具体的な数値として公開されていませんが、一般的には1回の再生で約0.05円〜0.7円とされています。
また、基本的には再生回数が伸びれば伸びるほど、動画コンテンツ内における動画広告の宣伝効果は高くなります。そのため、再生回数が多い人気動画コンテンツの配信者は、より多くの収益をあげている傾向にあります。
動画広告の課金形態
動画広告には主に3つの課金形態があります。動画広告が再生されるだけで課金されるものから、広告がクリックされたときだけ課金されるものまで、課金形態によって条件はさまざまです。
- ・CPV(再生1回あたり)
- ・CPM(表示回数1000回あたり)
- ・CPC(1クリックあたり)
ここでは、それぞれの課金形態について解説します。
CPV(再生1回あたり)
入札単価の上限が決められていないため、費用対効果を求めるのであれば運用調整を必要とします。一方、予約型はあらかじめ決められた単価で再生回数に応じた金額を支払うシンプルな方式です。運用調整も必要ないため、動画広告が初めての方に向いている方式といえます。
予約型の課金単価は、1再生あたり3円〜20円程度です。
CPM(表示回数1000回あたり)
CPMは、動画広告が1,000回単位で表示されるごとに課金されるインプレッション課金方式です。
動画広告が表示された回数に応じて、広告費の支払いが必要となり、動画広告の再生回数に関係なく広告費が決まります。
そのため、表示回数が高くなるほどそれに比例して広告費も高くなりますが、認知拡大効果も大きいためより多くの人に知ってもらえるきっかけとなるでしょう。
課金単価はジャンルによって変動しますが、競合広告が多い人気のジャンルでは単価が300円〜700円になることもあります。
CPC(1クリックあたり)
CPCは、動画広告のリンクがクリックされるごとに課金されるクリック課金方式です。
前述したCPVやCPMとは違い、動画広告の再生回数や表示回数がいくら増えようとも広告費が発生しません。
そのため、CPCは商品の購入や資料請求を目的としたリンクに誘導させるために利用されることが多く、費用対効果が高いことが特徴です。
1クリック課金単価はCPVの入札型と同様に、複数の競合広告主によるオークションによって決められます。
【媒体別】動画広告の種類と課金方法
動画広告は、媒体によって多種多彩な運用ができます。また、動画広告単価も媒体ごとに種類や発生条件がさまざまです。ここでは、媒体別に分けた動画広告の種類と課金方法について紹介します。
YouTube
広告の種類 | 特 徴 |
---|---|
インストリーム広告 | 動画の前後、または途中で表示される広告 |
インフィード動画広告 (旧:TrueViewディスカバリー広告) |
検索結果画面や関連動画に表示される広告 |
アウトストリーム広告 | モバイル・タブレット専用の広告 |
バンパー広告 | 動画再生中に表示される広告 |
オーバーレイ広告 | 静止画での配信が可能な広告 |
マストヘッド広告 | トップページ最上部に表示される広告 |
YouTubeの広告形式は、上記のとおり6種類あり、それぞれに異なる特徴を持っています。
広告の効果を最大限発揮させるためには、広告をどこに表示するのか、広告を出すタイミングや広告の種類を見極めることが大切です。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
インストリーム広告
インストリーム広告は、動画の視聴前後や再生中に自動で表示される広告です。スキップが可能な広告と、スキップ不可な広告の2種類があります。
スキップ可能な広告には料金発生条件が複数設定されており、基本的には視聴者が広告を30秒視聴するか、広告リンクをクリックした場合のみ料金が発生します。そのため、すぐに広告をスキップしたり、クリックされなかったりすると料金が発生しません。
一方、スキップ不可広告は、表示回数によって料金が発生しますが、スキップできない広告はネガティブな印象を受けやすい一面もあります。
インフィード動画広告(旧:TrueViewディスカバリー広告)
インフィード動画広告は、検索結果画面や関連動画に表示される広告です。
動画視聴途中で強制的に表示されるインストリーム広告とは違い、視聴する動画を探しているときだけに表示される広告なので、ネガティブな印象を与えにくいです。
また、確実に商品に興味や関心がある視聴者にターゲットを絞ってアピールできます。
ただし、興味のある視聴者以外へのアピールが難しいため、認知度の向上につながりにくい点がデメリットです。
なお、課金の仕組みは視聴者が広告をクリックすることで料金が発生するCPC課金方式です。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、動画枠以外の部分で配信される動画広告です。
YouTubeなどの動画サイト以外にも、Webサイトやアプリ、SNSなど、動画配信の枠を設置できる場所であれば自由に広告を出せます。
そのため、YouTubeの視聴者以外にも広く広告をアピールしたいときに有効な広告パターンです。
画面の大部分に表示されるというメリットがあり、広告への興味を持ったユーザーに対するアプローチに優れる一方で、広告への興味がないユーザーに対しても表示されてしまいます。
広告面積の50%以上が2秒を超えて視聴するとカウントを行い、表示回数が1,000回単位で料金が発生するCPM課金方式です。
バンパー広告
バンパー広告は、動画の前後や再生中に表示される動画広告です。
基本的な性質はインストリーム広告と同じですが、表示時間が6秒以内であるため短時間しか表示されません。また、短時間であるためスキップ機能は付いていません。
そのため、詳細な情報を複数詰め込む通常の広告とは違い、短い時間でも相手に伝わるようなシンプルさが求められます。また、広告がスキップされることはないので、視聴者に強いインパクトを与え、認知度を高めたいときに有効な広告パターンといえます。
課金形態は、動画広告が1,000回単位で表示されるごとに料金が発生するCPM課金方式です。
オーバーレイ広告
オーバーレイ広告は、YouTubeの動画内で静止画を公開する動画広告です。広告が表示されるのはブラウザ版に限定しており、アプリ版では配信されないためパソコンでしか配信されないという特徴を持っています。
動画視聴の邪魔にならないよう動画の下部に表示されることに加え、スキップ可能であるため視聴者に不快感を与えにくい広告といえるでしょう。
動画制作が困難である場合や、より多くの視聴者に広告を見てほしいときに有効な広告パターンであり、課金形態はCPMとCPCの2種類に分けられます。
マストヘッド広告
マストヘッド広告は、YouTubeのトップページ最上部に大きく表示される広告です。
今回紹介したYouTube広告の中でも視聴者が目にする機会が最も多く、非常に高い広告効果を得やすい広告パターンです。
短い期間でも認知度を上げたり、多くの集客が見込めたりするメリットがある半面、広告費用が高額になるデメリットもあります。
課金形態は、1日1社限定で広告枠を購入する日別単価制か、動画広告が1,000回単位で表示されるたびに費用が発生するCPMのどちらかです。
LINE
利用者が多いLINEでの動画広告は、集客ツールとしても高い効果を期待できる広告です。
LINEの利用者層は、老若男女を問わないことに加え、ユーザーの年齢・性別による偏りがないことから、他のSNSよりも広い層への拡散が期待できるでしょう。
また、広告配信のセグメントを設定できるため、ユーザー属性を考慮しながら自社製品・サービスにあった広告を配信できます。
LINEの課金形態はCPMとCPCの他に、友達が追加されるごとに課金される課金方式もあります。
女性の利用者層が多いInstagramは、美しい写真や共感力が高い動画による広告において高い効果を発揮します。
美意識の高いユーザー層が多いため、広告にも美術的クオリティの高さが求められやすいです。
インフィード広告やストーリー広告を始めとした多種多彩な広告が配信できることに加え、ハッシュタグを使いこなすことで認知度を高め、商品やサービスの利用を促す効果も期待できます。
課金形態はCPV、CPM、CPCの他にアプリインストール課金と呼ばれるCPIがあります。
また、Instagramによる広告は、費用が100円からと安価であるため広告運用初心者も使いやすいです。
Twitter広告は、タイムライン上で自動的に再生される動画広告の他に、検索結果やおすすめユーザー欄にも掲載可能です。
ツイートと同じように広告が流れるため、「リツイート」や「いいね」してもらうことで、認知度が上がる仕組みもできています。このため、ツイートがバズったときの情報拡散力は、他の広告よりも優れています。
また、ユーザーのツイート履歴をもとにターゲット層を選定するなど、精度の高いターゲティングができるのも特徴です。
一般的な課金形態であるCPV、CPM、CPCの他に、フォロワー獲得数課金やエンゲージメント数課金があります。
Facebook広告は、記事内に埋め込まれたニュースフィード広告やモバイルアプリ専用の動画広告などが特徴です。
既存のターゲット属性や行動履歴が類似するユーザーをターゲティングできる類似オーディエンスを設定できるため、精度の高いターゲティングによって幅広い関心層にアプローチすることができます。
また、広告出稿の手順が簡潔で分かりやすく、広告費は100円からでも配信できるためInstagram同様、初めて動画広告を運用する初心者に適した媒体ともいえます。
料金形態はCPVとCPMの2種類です。
TikTok
TikTokは、ユーザー層の中心である10〜20代の若年層に向けた商品やサービスの認知に適した広告媒体です。
スマートフォンのサイズに最適化した縦向き広告との相性が良く、ショートムービーとBGMを絡めてアプローチしていくことで、広告効果を最大限に高めることができます。
TikTokで配信できる広告は、アプリ起動時に表示される「起動画面広告」、おすすめ投稿に配信できる「インフィード広告」、企業が作成した動画を参考にしたハッシュタグ付きの動画投稿をユーザーに促す「ハッシュタグチャレンジ」、少額の広告費で出稿できる「運用型広告」の4種類があります。
動画広告を成功に導くポイント
動画広告を活用してビジネスを成功に導くためには、目的とターゲットを明確にしたうえで戦略を立てなければなりません。
さらに、広告結果についても常に分析を行い改善することも大切です。
ここでは、動画広告成功のカギを握るポイントを解説します。
目的とターゲットを明確にする
動画広告を配信する目的が明確でなければ、その先にいるターゲットも見えてきません。
目的を定めないままスタートすると、動画広告制作の方向性があいまいになりやすいです。その結果、「どのような視聴者に何を伝えたいのか」が見えてこない動画広告になってしまいます。
反対に、目的を明確にすることで目指すべき動画広告が見えるため、結果として広告効果の高い動画を制作できる可能性があります。
また、広告効果を高めるには目的設定後の的確なターゲット設定も大切です。
性別や年齢、職業はもちろんのこと、悩みや趣味など細部にまでこだわったターゲットの属性を設定することで、動画広告の方向性も明確にできます。
より効果的な動画広告を制作するためには、第一段階として目的とターゲットを明確にすることから始めましょう。
広告を運用するための体制を整える
動画広告を出稿するためには、動画広告に関する企画や作成の他に、広告アカウントへの入稿といった作業が必要です。
また、広告からつながるページの作成やデータの分析、改善といった広告運用に関する作業も欠かせません。
これらの作業をすべて自社で行うためには、動画広告の運用経験を持つ人材の確保や、安定的に運用していくための体制を整えることが求められます。
適した人材がいない場合や時間的猶予がない場合は、代理店運用なども検討し、広告を運用するための体制を整えましょう。
メディアごとの特徴を考えて媒体を選ぶ
動画広告の配信媒体にはさまざまな種類があり、広告効果を高めるためには、媒体ごとのユーザー層や動画の仕様をよく考慮したうえで選ぶことが大切です。
例えば、Facebookの動画広告であれば40〜50代のメイン利用者層に向けたビジネス関連の広告動画が有効でしょう。
また、芸術的動画で女性層に訴求したい場合はInstagram、年齢層が低いユーザーに向けた動画では、TikTokやTwitterを選択することも有効です。
このように、メディアごとの特徴を理解したうえで、提供したい商品やサービスに最も適したメディアに動画広告を出稿しましょう。
広告は最初の部分でユーザーの心を掴む
動画広告はスキップ可能なものと不可能なものがありますが、いずれにしても冒頭部分でいかにユーザーの興味を引けるかがポイントです。
成果をあげている動画広告は、例外なく冒頭数秒でユーザーの興味・関心を引き出しているものが多いため、最も伝えたいことを冒頭に持ってくると成功しやすいです。
ユーザーに興味を持ってもらうことに成功すれば、最後まで広告を見てもらえる確率も高くなります。
動画を公開した後は分析・改善を行う
動画広告は公開して終わりではありません。公開した動画に対するユーザーの反応を分析しつつ、検証することが大切です。
具体的には、「視聴回数がどれだけあったのか」「その中で、30秒以上もしくは最後まで視聴してもらえた完全視聴率はどの程度あったのか」を見ることで、ユーザーの興味指数を測る指標となります。
また、ユーザーが広告をクリックした回数や表示回数で割ったクリック率も、適正なターゲティングができているのかを測る指標です。
動画広告の運用を成功させるためには分析した結果を踏まえ、そこから改善点を見つけ、何度も改善を繰り返していくことが重要といえるでしょう。
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